【建物から学ぶ神道】社殿の種類と飾りについて簡単解説
こんにちは!
神社の建物には、入口に立てられている鳥居と同じように、色んな形のものが存在していますよね。
鳥居の形式を知れば、その神社にどんな神様が居て、どんな歴史があるかを推測できるように
社殿の建築様式を理解すれば、神社の歴史についてをもっと深く学べるかもしれません。
ということで今回は、社殿の種類と飾りについて、わかりやすく解説したいと思います。
神社の建物にちょっとでも興味ある!と感じた方は、ぜひ最後まで読んでみて下さいね😌
社殿の種類について
神社の建物には、大きく分けて二つの様式が存在しています。
それが、稲や小麦などを蓄えた高倉(たかくら)式倉庫が発展したといわれる『神明造(しんめいづくり)』
そして、古代の高倉式住居の形から発展したといわれる『大社造(たいしゃづくり)』です。
神明造も大社造も詳しい記録が残されておらず、一体いつ頃から建てられたのか?はわかっていません。
しかし、どちらの建物も弥生時代の遺跡に配置が似ているため、弥生時代の倉庫や住居をモデルにしているのではないかという説が指摘されています。
卑弥呼(ひみこ)が中国の三国時代に、魏の皇帝から"親魏倭王(しんぎわおう)"という称号が贈られていたように👸
少なくとも古墳時代には、海外との交流があったわけですから、他の宗教の建造物に影響を受けていた可能性も考えられますね。
いずれにしても、神明造と大社造が最古の神社建築様式であることは間違えないでしょう。
ここからは、社殿の代表的な形式である"神明造と大社造の違い"について、わかりやすく解説していきますよ。
神明造の特徴
伊勢神宮に代表される神明造は、高倉式倉庫をモデルとし、稲や小麦の代わりに神宝を納める目的があったと考えられています。
そのため、奥行きはほとんどなく、横幅が広い長方形の形式が特徴☝️
また、屋根の構造をみても、神明造と大社造では大きな違いがあります。
社殿の本を開いて、上からかぶせたような屋根のことを"切妻造(きりつまづくり)"
屋根が三角になっている部分を"妻(つま)"
平らになっている部分をそのまま"平(ひら)"と呼びますが、神明造は平側に入口があるのが特徴。
ですから、神明造の入口を"平入(ひらいり)"と表現します。
ちなみに伊勢神宮の本殿にみられる、"カラブキ屋根"の"掘立柱(地面に穴を掘って柱を立てる)"は『唯一神明造』といい
他には類をみない伊勢神宮特有の様式です✨
大社造の特徴
出雲(いずも)大社に代表される大社造は、高倉式住居をモデルとし、祭祀の際に建てていた宮殿が社殿へ発展したものと考えられます。
神明造と違い、正方形のような形をしているのも特徴☝️
元々、自然を神様として崇めていた神道にとって、社殿はなかったわけですから
大社造は、海外の建造物が深く関係しているのかもしれませんね。
平側に入口がある神明造に対し、大社造は屋根が三角の妻側に入口を持っており
このような形式を"妻入(つまいり)"と表現します。
日本神話の伝承によれば、平安時代の出雲大社の社殿は、奈良の大仏が安置される東大寺大仏殿より大きかったそう😳
一番最初の社殿の高さは、なんと92mにも及んだらしいです(笑)
92mといえば、大体20階建ての高層ビルと同じ高さになるわけですが、まさに天にも届くような立派な建物だったんでしょうね。
神明造が派生した神社建築
神明造から派生した"流造(ながれづくり)"は、京都の上賀茂(かみがも)・下鴨(しもがも)神社に代表される建築様式。
神明造と同じく平入の切妻造ですが、正面側の屋根が長く伸びて向拝となっているのが特徴です🙏
全国で最も多い神社本殿の形式が、この流造だそう。
流造の後ろに、もう一棟の建物を連結させたものは、京都の石清水(いわしみず)八幡宮にみられるような"八幡造(はちまんづくり)"という形式です。
前後に二棟並ぶ形になりますが、どちらも本殿というのがポイント☝️
八幡造から派生した形で、本殿と拝殿を一体化させたものは"権現造(ごんげんづくり)"という建築様式。
権現が仏や菩薩の仮の姿を現しているように、寺院や海外の仏教建築の影響を大きく受けているものと思われます☸️
栃木県の日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)に代表される、非常に華やかな建物ですね。
流造のように正面の庇(ひさし)だけでなく、両側にも庇が大きく伸びている形式を"日吉造(ひえづくり)"といいます。
日吉造は、滋賀県の日吉(ひよし)大社にしか存在しません🐒
日吉大社の境内にも、三棟しか存在しない非常に特殊な建築様式です。
大社造が派生した神社建築
大社造から派生したもので、春日大社に代表される建築様式を"春日造(かすがづくり)"と呼びます。
大社造と同様に妻入の切妻造ですが、正面側の屋根が長く伸びて向拝となっているのが特徴🙏
近畿圏では特に多くみられる形式のようです。
大社造とほぼ変わりませんが、本殿内部が二室に分かれていて、入口の階段に屋根がない形式を"住吉造(すみよしづくり)"といいます。
文字通り、大阪の住吉大社に代表される建築様式✨
皇位継承の重要なお祭り"大嘗祭(だいじょうさい)"の建造物がモデルではないか?という指摘もあります。
ちなみに奈良時代以前に造られていた形式は、神明造・大社造・住吉造の三種類だけだそう😳
社殿に付いてる飾りって何?
神社の建築様式にしかみられないような、屋根の上に付いてる独特な飾り⚜️
一体何なのか気になりますよね(笑)
屋根の両端でV字になっている二本の板木を"千木(ちぎ)"
屋根の上に水平に置かれているものを"鰹木(かつおぎ)"といいます。
千木と鰹木は、どちらも古代の皇族や豪族の住居として用いられていたものが、神社の聖性を象徴する形で発展しました。
千木のには、先端が地面に対し水平に切った形の"内削(うちそ)ぎ"と垂直に切った形の"外削(そとそ)ぎ"と表現します。
内削ぎは伊勢神宮内宮、外削ぎは伊勢神宮外宮で使われていることが、名前の由来だそうですよ。
千木のはじまりは、家屋(かおく)を建てるために、結びとめた木材の先端をそのままにしていた名残り。
鰹木のはじまりは、カラブキ屋根が飛ばないように押さえるための木で、かつお節に似ていたことが名前の由来だとか(笑)
ちなみに、千木の切り方や鰹木の数の法則については、詳しいメカニズムがわかっていません。
一説では、千木が内削ぎで、鰹木が偶数の場合は女神👑
千木が外削ぎで、鰹木が奇数の場合は男神を祀っているといわれていますが...
実際には、該当しない神社の方が多いかもしれません(笑)
ただ、伊勢神宮の内宮にみられるような千木が内削ぎで鰹木が10本の社殿は、アマテラスと関係の深い神様を祀っている可能性が考えられます🌞
神社の伝承と掛け合わせてみると、もっと面白い発見があるかもしれません。
ご利益やキレイな風景を求めて神社参拝に行かれた際は、鳥居や社殿にも注目してみて下さいね 😌