【天津神と国津神】2種類の神様の特徴をわかりやすく解説
こんにちは!
古事記や日本書記など、最古の歴史書に登場する神様は、"天津神(あまつかみ)"と"国津神(くにつかみ)"の2種類に分けられます。
他宗教の文化が日本の文化と習合する過程で、いつしか人格者も神様として崇められていくわけですが
現在でも、神社や大社に祀られているほとんどの神様は、天津神か国津神に分類されるのではないでしょうか。
そこで今回は、天津神と国津神。2種類の神様の特徴について、わかりやすく解説したいと思います。
神様の種類を理解すると、自分の推しの神様が見つかるかもしれませんよ(笑)
日本神話を知る上でも、重要になるので、ぜひ最後までご覧ください😌
天津神とはどんな神様?
天津神(あまつかみ)は、日本神話において"高天原(たかあまはら)"という天上界に住む神々のことをいいます。
世界のはじまりである天地開闢(てんちかいびゃく)に現れた"造化三神(アメノミナカヌシ・タカミムスヒ・カミムスヒ)"などの神様🌌
"始祖神(イザナギ・イザナミ)"によって、産み落とされた多くの神様。
イザナギから高天原を治めるよう委任された、太陽神"アマテラス"の子孫などが天津神に該当します。
造化三神(ぞうかさんしん)
天地が開けた高天原で、最初に現れたアメノミナカヌシは、天の中心の主💫
次に現れたタカミムスヒとカミムスヒは、万物の生産を司る神です。
この三柱は、男女の概念ない"ひとり神"という特別な存在。
アメノミナカヌシは、誕生してすぐに姿を隠してしまいますが
タカミムスヒは天津神・カミムスヒは国津神をサポートするために度々登場します。
始祖神による国産み、神産み
その次に、水の間から出現した大地の神・泥や杭を司る神・男女の体を神格化した神が出現し、 次に登場したのがイザナギとイザナミの男女神👩❤️👨
「誘(いざな)う」という言葉が表すように、互いを誘い合う年頃の男女神で、二人は神様で最初の夫婦となります。
二神は、淡路島を起点として国を産み、人間の生活に欠かせない岩や砂・屋根・自然や食物を司る神様を次々と産んでいきました。
日本神話では、本州にも"大倭豊秋津島(おおやまととよあきづしま)"という名前が付いているんですよ(笑)
太陽神アマテラスは、そんなイザナギが最後に産み出した"三貴子(さんきし)"と呼ばれる最も尊い神様の一柱です。
アマテラスは、神様と人間の境のない混沌とした地上の様子を見て、自分の子供や孫に治定させようと考えますが
この時、地上の制圧した神様や天孫が地上へ降臨する際の道案内を担当した神様のほとんどが、天津神です。
つまり天津神とは、国や生命、そして生命が生きていくための環境を産み出した神様🌱
また、天から降り立ち、日本を統治した神様のことを指しているわけです。
国津神とはどんな神様?
国津神は、地上の世界であった"葦原中国(あしはらのなかつくに)"を治める神様のことを指します。
葦原中国は、神話における日本の異名ですから、日本の自然や生活を見守る神様が国津神に該当🍀
また、日本神話が誕生する以前から、地域を守っていた神様なんかも国津神に分類されます。
日本神話の面白い特徴としては、多くの国津神にも天津神の血が混じっているということですね。
例えば、イザナギの三貴子として産まれた"スサノオ"という神様は、アマテラスの弟にあたりますが
そして、スサノオの子孫にあたる"オオクニヌシ"によって、葦原中国は治められるわけです。
スサノオが国津神になった理由
スサノオは、"すさまじい"という言葉があるように、平穏な日常を壊してしまうくらい荒々しいパワーを持った海の神様です🌊
しかし、亡くなってしまった母(イザナミ)に会いたいと泣いてばかりいて、海を守りませんでした。
高天原でも懲りずにイタズラを重ねたため、ついには高天原からも追放されてしまうのです。
今までの自分の行いを反省したスサノオは、葦原中国で人々を苦しめていた"ヤマタノオロチ"という怪物を退治🐍
ヤマタノオロチの生贄にされそうだった"クシナダヒメ"という国津神の神様と結婚し、葦原中国の政権を握る存在となったのです。
オオクニヌシの国作り
スサノオの子孫の中でも、一際才能のあったオオクニヌシは、兄たちから妬まれますが
スサノオの厳しい試練に打ち勝ち、娘である"スセリヒメ"と結婚したことで、"偉大な国の主"として国作りを行いました。
日本神話によれば、そんなオオクニヌシの子供の数は、180柱にも及ぶと記載されています。
まさしく一大王国を築いていったわけですね👑
オオクニヌシの国作りの物語には、私たちの生活に身近な存在も数多く登場します。
例えば、スサノオの住む「根(ね)の国」での試練中にオオクニヌシのピンチを救ったのは、なんとネズミ(根住み)でした🐀
一般的には、害獣として嫌われるネズミですが
"ネズミが食べれるほどの穀物に恵まれる"として、ネズミを福神と信仰する神社もあります。
さらに、オオクニヌシと協力して葦原中国を作り上げた"スクナヒコナ"は、一寸法師のルーツであるといわれていますし
オオクニヌシの悩みに唯一答えることができた"クエビコ"は、案山子(かかし)の神様です。
以上のように、国津神にはスサノオ、オオクニヌシの子孫にあたる神様や
私達の生活に身近な自然・動物の神様も挙げられます。
まとめと考察
今回は、天津神と国津神。2種類の神様の特徴についてお話していきました。
簡単にまとめると
また
といった感じで分類できるのではないでしょうか。
『スサノオが国津神になった理由』でもお話しましたが、日本神話における天津神と国津神の境界線ってすっごく曖昧です(笑)
例えば、イザナギとイザナミによって産まれた"オオヤマツミ"という山の神は、国津神の始祖的存在として登場しますし⛰
同じくイザナギから産まれた"タケミカヅチ"という雷の神は、葦原中国を制圧する天津神の刺客として、高天原から降り立ちます。
私たちでは手の届かない存在(太陽・月・雷)などが天津神で
私たちの生活に身近な存在(海・山・川)などが国津神
という分類もできなくはないですが、なんだかスッキリ整理はつきません(笑)
この天津神と国津神の曖昧な境界線には、古事記や日本書記が編纂(へんさん)された
当時の時代背景が関係していると思われます。
奈良時代から平安時代にかけて、ヤマト朝廷は強力な国家体制を整えるために、中央集権化を進めていました。
つまり、天皇を中心とした政権の実現のために、各豪族を支配する正当性が必要だったわけですね🤔
実際に日本神話では、アマテラスが葦原中国の統治を命じた"ニギギ"の子孫は、初代天皇である"神武天皇"です。
天津神の子孫である天皇家が、他の豪族たちより上の立場だ。ということを証明したかったのでしょう。
その証拠に、中臣氏(藤原氏)の祖神である"アメノコヤネ"や猿女氏の祖神である"アメノウズメ"など、朝廷側の豪族も天津神として描かれています。
しかし、地方には出雲国(スサノオが祖神)のように、ヤマト朝廷と匹敵する豪族が多数存在していると考えられていました。
ですから、地方豪族の立場を尊重するために、天津神と国津神の境界線は曖昧になってしまったのではないでしょうか。
出雲系のスサノオやオオクニヌシは、日本神話の国作りで大活躍をします。
逆に大きな力を持っていたにも関わらず、神話でほとんど登場しない神様は、朝廷に抵抗していた豪族の祖神という可能性があります。
もしかしたら、当時はアマテラス以上の崇敬を受けていた神様が居た...
と考えれば、 実はアナタの近くにひっそり祀られている神様も、すごいパワーを持っているのかもしれませんよ😌